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教育講演

中澤 公孝 先生 

東京大学大学院 総合文化研究科・教養学部教授

 

東京大学大学院教育学研究科博士課程体育学専攻修了、博士(教育学)

国立障害者リハビリテーションセンター研究所運動機能系障害研究部長

東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系教授

パラリンピックブレイン ― ニューロリハモデルとしてのパラアスリートの脳 ―

パラリンピアンの脳は神経リハビリテーションの最良モデルである。私たちは、この視点からパラリンピアンの脳の特異性と、それをもたらす神経機序について研究している。いうまでもなくパラリンピアンは身体の一部に障害を有している。障害は先天性にせよ、中途にせよ、脳の代償性変化を誘導する。パラリンピアンの脳においては、この代償性変化に加えて競技トレーニングに伴う使用依存的変化が生じるため、著明な脳再編が生じると考えられる。この脳再編は、競技パフォーマンスを最大化するための限界に近い身体トレーニングと、勝利や記録突破をめざす高いモチベーションがもたらすものであり、人間にとって最高水準の脳再編とみることができる。

本講演では、下肢切断や脊髄損傷、先天的上肢欠損、脳性麻痺など様々な障害を有するアスリートが、いかに優れた身体パファーマンスを発揮することができるのか、そしてその背後にどのような脳の変化が生じていたのか、について近年私たちが見出した何人かのアスリートの例を紹介する。それら各種障害を有するアスリートの、これまで未知であった脳再編、残存機能の発達をみることで、私たち人間の中枢神経や身体組織が有する未知の能力をうかがい知ることができる。

本講演では様々な競技のパラリンピアンの脳を紹介するとともに、人間の脳が本質的に有する再編能力について考えてみたい。

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